第2章 インストールと環境構築
2.1 Python のバージョン
JAX の Python サポートはリリースごとに更新されます。公式のサポートポリシーでは、各 JAX リリース時点から過去 45 か月以内の Python 機能リリースが少なくともサポート対象になります。2026-06-02 時点では Python 3.11 もサポート対象ですが、3.11 は少なくとも 2026 年 7 月までという扱いなので、新しく環境を作るなら Python 3.12 以上 をおすすめします。python --version で確認しましょう。
python --version
# 例: Python 3.12.3
2.2 仮想環境を作る(推奨)
Python のライブラリは「プロジェクトごとに環境を分ける」のが鉄則です。バージョン違いの衝突を防げます。
venv を使う場合(標準・お手軽)
# プロジェクトのフォルダで
python -m venv .venv
# 仮想環境を有効化(mac / Linux)
source .venv/bin/activate
# Windows の場合
# .venv\Scripts\activate
uv を使う場合(高速・最近の人気者)
# uv 自体のインストール(mac)
brew install uv
# プロジェクトを作る
uv init my_jax_project
cd my_jax_project
uv add jax
2.3 JAX のインストール
JAX は実行環境(CPU・NVIDIA GPU・TPU)によってインストールコマンドが変わります。
CPU のみで動かす(学習・お試しに最適)
pip install -U jax
これだけで OK です。
NVIDIA GPU(CUDA)で動かす
2026-06-02 時点の公式ドキュメントでは、pip で CUDA ライブラリを同梱する CUDA 13 用ホイール が推奨されています(Linux 用)。
pip install --upgrade pip
pip install -U "jax[cuda13]"
CUDA 12 が必要な環境では次も使えます。
pip install -U "jax[cuda12]"
注意点:
- NVIDIA ドライバは事前に入っている必要があります。
- Linux では CUDA 13 の場合ドライバ 580 以上、CUDA 12 の場合ドライバ 525 以上が目安です。
- CUDA ホイールは主に Linux 向けです。Windows のネイティブ GPU 実行や macOS GPU 実行は状況が異なるので、必ず 公式インストールガイド を確認してください。
Google Cloud TPU で動かす
pip install -U "jax[tpu]"
💡 Google Colab では多くの場合 JAX が使える状態になっています。TPU を使う場合は Colab 側のランタイム種別や公式インストールガイドも確認してください。
2.4 動作確認
Python を起動して、次のコードを実行してみましょう。
import jax
import jax.numpy as jnp
# バージョン確認
print("JAX version:", jax.__version__)
# 利用可能なデバイス確認(CPU / GPU / TPU)
print("Devices:", jax.devices())
# 簡単な計算
x = jnp.arange(5)
print("x =", x)
print("x ** 2 =", x ** 2)
出力例(CPU の場合):
JAX version: 0.x.y
Devices: [CpuDevice(id=0)]
x = [0 1 2 3 4]
x ** 2 = [ 0 1 4 9 16]
Devices のところに CudaDevice や TpuDevice が出てくれば、GPU/TPU が認識できています 🎉
2.5 よく使うエディタ・実行環境
- Jupyter Notebook / JupyterLab: 試行錯誤に便利。
pip install jupyterlabで導入。 - VS Code: Python 拡張機能を入れると快適。
- Google Colab: ブラウザだけで完結、しかも無料 GPU が使える。
初心者の方は、まず Colab で動かすのが一番おすすめです。
2.6 次の章へ
環境が整ったら、いよいよ JAX のコードを書いていきましょう。次は NumPy そっくりな書き心地の jax.numpy を学びます。